西洋音楽史③中世の音楽⑴
中世の音楽
こんにちは。近松です。
最近オンライン授業が始まりました。自分で授業時間を調節できることと、3年になって例年に比べて授業数が少ないような気がして不安になったので、興味がある授業をバンバン入れて、必要以上に履修する授業を増やしてしまった気がしています。フル単位を目指して頑張ります。
さて、今回は中世の音楽をやっていきたいと思います。
ここから所謂、私たちが西洋の音楽と言われてイメージできるものが始まっていきます。
今回は中世⑴と中世⑵というように、2回に分けて書かせていただきます。
今回長くなってしまいましたが、多分これからもっと長くなると思います。こんなペースでやっていったら全然おわんないとも思ってるので、どこかでスピードアップします。。
中世の音楽
中世の音楽史は5世紀〜14世紀の間に展開されました。一般における中世の歴史(西ローマ帝国滅亡〜東ローマ帝国滅亡)とほぼ一致します。
中世のヨーロッパにおいて、「音楽」はどのように位置付けられていたのでしょうか。
まず、大きいのはキリスト教の存在です。イエス・キリストの存命中から讃歌を歌っていたほど、宗教と音楽が結びついていました。そこから神を讃えるという目的のもとたくさんの音楽が発展しました。
なんか宗教と芸術って結びつきやすいですよね、、どういう心理で結びついてるんだろうなぁ
イスラエルの宗教は耳で神の啓示を聞くことから、音楽だけが芸術だ!っていう考えをもって他の絵画とかの芸術は全部認めない!みたいな感じにもなっていたそうで、そういう点でも音楽は優位な位置にある芸術だったそうです。
一方で。
音楽は学問の一つとしても位置付けられていました。といいましても今も音楽という科目はありますが、そういう感じのよりも幾何学や天文学・算術学など数学的な位置付けの学問であったそうです。
ボエティウスという人が古代から中世の時代に音楽理論を伝えました。名前が覚えやすかったです。ボエティウス。
あと有名な人としては、3平方の定理で有名なピタゴラスが、音程と数比の関係を見つけたりしました。ピタゴラス音律というのも彼は残しています。
2:3とか綺麗な比率で音を区切ってそこから生まれた綺麗な音程で音階を作ろうぜ的な発想です。これは中国とか日本とかでも行われてた手法だそうです。
ただこのやり方でいくと、高い音域に作った音と低い音域に作った音(例えばG♯とA♭)は同じ音のはずなのに若干のずれ(ピタゴラスコンマと言われる)が生じてしまい、あんまり実用化には至りませんでした。
グレゴリオ聖歌
中世の音楽といえばコレです。
音楽的に見ていくと、中世の音楽はグレゴリオ聖歌から発展していきました。グレゴリオ聖歌とは「単旋律のキリスト教典礼聖歌」のことです。
キリストを讃えた歌をみんな同じ旋律で教会で歌ってるやつっていう意味です。
ヨーロッパ各地の多くの教会において、それぞれがいろいろな典礼を用いて聖歌を発展させ(地方的聖歌)、それを各地で歌っていました。
そこで6世期末から7世紀くらいに、「グレゴリウス1世」という偉い人がローマ式に統一しようぜと言い、ローマ式の典礼に統一されました。コレがグレゴリオ聖歌の始まりです。
今回はこれを聴きながら作業しました。
グレゴリオ聖歌の音楽的な特徴
グレゴリオ聖歌には歴史的にも大切な二つの音楽的な特徴があります。それは「楽譜」を用いて音楽を残すようになったことと、基本的な4つの教会旋法を使って展開されたことです。
ネウマ譜
聖歌を書き留めるために、ネウマという記号が用いられ、そこからネウマ譜が発展しました。初めは「あ^旋律の形どんなんだったっけ〜しばらく歌ってなかったから思い出せんわ〜」っていうのを無くすために簡単な印をつける程度でした。
後に複数の横線を書いたら音の高低めっちゃわかりやすいっていうことに気づき、線が引かれて音の高低をある程度正確に明記できるようになりました。そして広い地域で同じ音楽を共有するためにすごく便利なので普及していきました。
現代における五線譜にとても近い作りになっているように思います。違うのは小節線がないこと、音符が符頭だけであること、音部記号(ト音記号とか)が違うこと、線が5本でなく4本であること、コレくらいですかね。
教会旋法
グレゴリオ聖歌のような単旋律聖歌において用いられた音階です。
種類はドリア旋法、フリギア旋法、リディア旋法、ミクソリディア旋法いう正格旋法の四種類と、それらの旋法の音域をそれぞれずらした変格旋法の4種類があります。
現在用いられている音階(ドレミファソラシド)にはそれぞれの音に主音、上主音、中音、下属音、属音、下中音、導音という名前が付けられているのに対して、
これら教会旋法にはそれぞれ、終止音と支配音という性格の音を持っています。
これら教会旋法は、その後発展して長音階と短音階という二つの音階に統合されていきますが、後の時代ロマン派以降にまた価値が見出されたりして効果的に音楽に使われたり、ジャズの世界など他の音楽のジャンルに転用されたりして、とても効果を発揮しています!
とても良いです。私の押しはドリア旋法です。ドリア旋法は明るいとも暗いとも撮れない、どこかノスタルジックな感じがあります。
例えばイメージと経験だけで語りますが、ドラクエの最初の街のBGMは大抵ドリア旋法で書かれていますね。それっぽいURLを載せておきます。
良いですね。これはドリア旋法です。
ジャズの世界では、ドリアンスケール、ミクソリディアンスケールと言うように呼び、曲のコードによって使い分けて即興演奏したりします。
その他
他にグレゴリオ聖歌のから生まれた音楽上よく使う概念として、シラビック的・メリスマ的、という概念があります。
シラビック的は、一つの言葉に一つの音という頻度で歌われる様式
メリスマ的は、一つの言葉を引き伸ばしていくつもの音を繋がらせる装飾的な様式
です。
これは聖歌を歌う上で生まれたものですが、今ではいろんな音楽のジャンルに使われます。
上の楽譜はフラメンコ・ギターの楽譜ですが、これはメリスマ的だと言えそうです。
グレゴリオ聖歌の多声化
グレゴリオ聖歌は単旋律ですが、あるときに聖歌に新たな旋律を垂直的に加えて多声化することが行われました。これをオルガヌムと呼びます。
男性と女性が同時に歌ったら音域が違うから、同時に二つの音がなる現象は自然に発生するという考え方です。でも、一つの旋律で歌うのが普通だという集団の意識のもとに集団の中で歌っていると、無意識に旋律は一つの線に統合されるんだろうなぁとも思います。
グレゴリオ聖歌のオルガヌムに関しては、とても厳格に理論的に新たな旋律が足されました。
5度や4度の音程関係でずっと平行して歌われる「平行オルガヌム」と、歌い出しは同じ音で徐々に広がっていく「自由オルガヌム(斜行オルガヌム)」などがあります。
また、12世紀前半から後半の中世の後期には、南フランスのアキテーヌ地方でさらに華やかなオルガヌムが歌われるようになります。
聖歌の旋律をめっちゃ引き伸ばしてずーーーっと歌ってる上に、華やかな装飾音を歌うという「オルガヌム様式」が使われるようになります。それに対して二つの声部が同じ音数で進行する部分を「ディスカント様式」と言います。
オルガヌム様式で引き伸ばしてる人は、ラテン語の引き伸ばすっていう意味の言葉から「テノール」と呼ばれるようになりました。今歌手に使われているテノールという言葉は元はここから来たそうです。
長くなりましたがまだ続きます。中世⑵は更なるオルガルムの発展と、教会音楽じゃないとこで歌われていた世俗的な歌について触れていこうと思います。
ありがとうございました。